隣の席の佐竹くんには…

「逃げんなよ。知れよ」

「えっ…?」

ライトが意味わからないこと言ってる。

呆れた様子だけど、どこか優しさも感じる顔をしているライト。

「罪悪感から逃げようとすんなよ」

「っ……」

「まだ中途半端にしか知ってないだろ?オレは梅沢には知ってほしかったから話したんだ」

「なんで?私、知る資格ないよ」

「資格とか知らねーよ。佐竹のこと知りたいんじゃねーのかよ」

「………知りたいよ」
「なら、責任とってとことん知れよ」
「責任て、なに?」
「知るか」

なにそれ。
意味わかんない。


でも、ライトが和ませようとしてくれてるのはわかった。


…知っていいのかな?

もう一歩、佐竹君に近づいてみたい。


「二人のこと教えてくれてありがとう」

それに答えるように、ライトは穏やかにフッと笑った。

「佐竹に興味持ってくれてありがとうな」

「えっ…あ、うん」

気恥ずかしくなって、ライトから視線を外す。


「あーあ…、ついにバラしちゃったなー。オレの恥ずかしい過去。…でも、なんかスッキリしたわ」

そう言って、両手を上げてグーッと体を伸ばした。

解放されたかのような様子に、少し安堵した。


これから、少しずつでいいから佐竹君のこと知っていけたらいいな。

また無神経なこと言っちゃったらどうしようって、少しだけ不安はあるけれど。

過去を知ったんだから、これから気をつけていけばいい。


「っし!パンフレット作りは終わり」

「えっ?まだこんなにあるけど…」

目の前に積まれた紙の束を指差すのを無視して、ライトはホチキスを乱暴に机に放り投げると、親指で廊下のほうを指した。

「ちょい着いて来て」

「え?」

「どうせ暇だろ?」

急になに?

言い返そうとしたが、一方的に教室を出ていくライトの後ろを慌てて追っていく。


やっぱり七恵の気持ちわかんないかも…と心の中で呟き、軽くため息をついた。