隣の席の佐竹くんには…

……佐竹君の過去を話している間、ホチキスを持つ手は止まっていた。

「…それでその後、佐竹に大川とリナのことを説明したら、どうにか納得してくれて、とりあえず落ち着いてくれて」

リナちゃんの言った“女の子みたい”という何気ない言葉。

これは、佐竹君の笑顔を“表現”するためだけに使った言葉だったんだと思う。

けど、それは佐竹君にとってはタブーな言葉だった。

相手の捉え方次第では傷つけてしまうかもしれない。
ほんの些細な言い方で誤解を招いてしまうことだってある。

たった一言に振り回されて、その人の人生が変わってしまうことだって…。

同じ言葉でも、受け取り方は人それぞれだ。
たった一言で、人の心は簡単に揺れてしまう。

そんなものを、私たちは何気なく使っている。

当時の大変さを思い出したのか、ライトは疲れたように軽く笑う。


「それで、その…リナちゃんとは和解できたの?」

ライトは首を横に振る。

「佐竹も冷静になって、リナには言い過ぎたから謝りたいって言ってたんだけど、言えなかった」

「どうして?」

何気なく聞いたその質問に、ライトは表情を曇らせると顔を俯かせた。

「リナが……自殺未遂、起こしたから」

「……え」

衝撃的な言葉に体が固まった。


これ以上、何も返せなかった。