三時限目が終わると、佐竹君の席に一人の男子がやってきた。
「さたけー。腹減ったぁ」
子供が母親にねだるように男子がそう言うと、佐竹君はそれに答えるように鞄からクッキーを取り出した。
クッキーの箱には「カロリーダイエット」と書いてある。
ダイエットなんて必要なさそうなのに、なぜ…?
「食べる?」
「お。いいのもってんじゃん、サンキュー」
男子は嬉しそうに頬張りはじめる。
そんな一部始終を隣でガン見していると、それに気づいて 佐竹君は口元をニッコリとさせた。
「梅沢さんも食べる?」
「いや、いらない」
佐竹君は「美味しいのに」と呟くと、あげようと差し出していたクッキーを自分の口へともっていった。
二人のやり取りを見ていたら一瞬、佐竹君がカツアゲされてる場面に遭遇したのかと思った。
先ほどのやりとりをカツアゲっぽくすると…
『佐竹ー。金くれよー』
『今日はこれしか…』
『お。結構もってんじゃん、サンキュー』
『梅沢さん助けて』
『いや、無理』
……完全にカツアゲだった。
そんな想像をしてしまうのには、カロリーダイエットを頬張っている男子の外見に要因がある。
響 来斗。
ライオンの鬣のような少し長めの金髪に着崩した制服。
明らかにやんちゃしてますオーラを放つ男子。
佐竹君の外見とは全く正反対の人種。
ギャルならギャル系、オタクならオタク系といったように、似たものを持った者同士が友達であるなら納得いく。
けれど、全く共通点の見当たらない二人。
なぜ友達同士なんだろう?
この二人…謎すぎる。
ライトはカロリーダイエットを頬張りながら、床に胡座をかいて漫画を読み始めた。
「これ結構ウマいな」
「最近リンゴ味も発売されたから買ってきた」
「ちょうだい!」
漫画本に目を向けたまま出してきたライトの手のひらに、佐竹君はクッキーを一枚置く。
クッキーをむしり取られているようにしかみえないんだけど…。
ホント、この二人の関係は一体なんなのだろう。
興味を示していないような無表情とは裏腹に、私の脳内は二人の事でいっぱいになっていた。
