隣の席の佐竹くんには…

蘇る記憶を無理矢理消すように、ギュッと目を閉じた。

このまま何事もなく過ごせたらいいとか…

それは、“あの出来事”から目をそらしているだけにすぎない。

逃げ続けているだけじゃ、本当に何も変わらない…


……でも。

ふと、数分前の出来事を思い出す。

あの状況の中、佐竹は進んで怪我した桜井を保健室へ連れていこうと動いた。

極力、人と関わることを避けていたのに。


……あいつ、変わろうとしてんのかな?


だったら、やることはわかっている。


再び目を開けると、青空に浮かぶ小さい雲が目に入った。


ゆっくりと風の吹くままに流れていく雲を見つめながら、「…よし」と声に力を入れた。