隣の席の佐竹くんには…

…驚いた。

まさか、あの場で七恵があんなこと言うなんて。

佐竹君のこと苦手だったはずなのに。

ほんの一瞬だけ、チラッと七恵がこっちに顔を向けてきた場面があった。

特に、気にすることもなかったけど、今考えるとあの視線は"決意"を伝えるためだったかもしれない。

先生がその場から離れ、佐竹君と七恵の後ろ姿も小さくなっていった頃、止まっていた時間が動き始めたように女子たちがざわつき始めた。

「桜井さんどうしちゃったんだろう」

「あれ絶対無理してたよね」

「桜井さん可愛いから襲われたりして…」

「やだ、怖いって!!」

「佐竹が保健委員とか余計悪化しそうじゃん」

所々で佐竹君のことを悪く言う女子たち。


なんでそうなる…?

保健委員だから七恵を連れて行っただけなのに。

悪い事じゃないでしょ?

みんなだってそれくらいわかってるはずなのに、それなのにー…

キュッと唇を噛みしめ下を向いた時、隣に立っていたライトの手元が目に入った。

握り拳が怒りを含んでフルフルと震えている。

たどるように顔を見たのと同時に、ライトの低い声が響いた。

「佐竹がいなくなった途端、好き勝手言ってんなよ。お前ら性格悪すぎ。言っとくけど、あいつはそんな奴じゃねーから」

気分悪りぃ…と吐き捨てると、ライトはその場から離れた。

「えー…何あれ」

「とりあえず良い人アピールしてるんじゃん?」

今度はライトの陰口大会が始まった。


どうして悪く言われなきゃならないの?

どうしてちゃんと見ようとしないのだろう?

どうして…


やっぱり外見のせい?


…もし。

もし、外見が変わったら、皆の見る目は変わってくれるのかな?


そしたら、本当の内面を知ってもらえるようになるのだろうか…