隣の席の佐竹くんには…

「佐竹君、お願いしてもいい?」

七恵の一声に、その場に驚きとどよめきが起きた。

なぜか一番驚いていたのが本人だった。

「…オレでいいの?」

「大丈夫もなにも佐竹君、保健委員なんでしょう?」

「え…うん」

呆気に取られてる佐竹君に、フフッと七恵は笑う。

「ちょっ…桜井さんっ!無理しないで!」

「痛いのに無理しないでって言われても」

「あっ、その、そういう意味じゃなくて…」

慌てる尾形さんに七恵はニッコリを笑みを作る。

「大丈夫!気にしないで!」
「っっ……」

自分が怪我させてしまった手前、尾形さんはそれ以上言葉を返せないようだ。

いや、七恵がそれ以上言わせないように圧をかけていたようにもみえた。

「じゃあ佐竹君、桜井さんをお願いね」

「わかりました」

「他のみんなは続きから始めて-」

先生と会話を交わすと、七恵と佐竹君は一緒に並んで校舎の方へと歩いていった。

女子たちは、何が起きたのか分からないまま無言で見つめていた。