隣の席の佐竹くんには…

七恵の言う通り、ここ最近、ライトとは会話を交わしていない。

「別に…頻繁に話す仲ってわけでもないし、たまたま話さない日が続いてるだけだと思う」

あぁ、また誤魔化してしまった…

「ふぅん…そっかぁ」

なんとなく納得したような返答をする七恵に冷静さを装いながらも、数週間前の自分の発言を思い返す——…


『その外見変えようって思ったことないの?』

『ライトと佐竹君は故意に外見を作ってるような気がして—…』

『もし変えたら周りの人たちの反応は変わると思う』


ライトに放った言葉の数々。

あの時、それ以上踏み込むなと、ライトに壁を作られた。

それからというもの、ライトの間には気まずい空気が流れている。

あんな軽率にズカズカ言われたら不快にもなるよね。

謝りたいけど、どう切り出せばいいのか、声をかけるタイミングがわからなくて。

日が経てば経つほど、それと比例して気まずさが増すばかり。

もっと、よく考えてから発言するべきだった。

地面に描いた絵に向かってうなだれながら、うーん…と、思い悩む。

そんな様子に七恵は小首を傾げる。

「梅…やっぱり、変だよ。なんか悩みがあるでしょ?」

「え…いや…」

ついさっき誤魔化した手前、言いづらい。

数秒悩んで咄嗟に出した答えが…

「カッパとライオンの共通点探してるんだけど見当たらなくて…」

「え、なにその疑問。私には相談できない感じなの?」

「そんなんじゃないけど…」

七恵の攻めの目が鋭くて怖い。

上手く説明出来ずに戸惑っていると「…あのさ」と、七恵がフウッと何かを覚悟するように息を吐いた。

「思ったこと率直に聞くけど…もしかして、梅もライト君のこと好きなんじゃ」

「あ、それはない」

手のひらを七恵に向けて、食い気味ではっきり否定させてもらった。

それに七恵は思わず笑いを吹くのと一緒にホッとしたように笑みをこぼした。

「その感じだと本音、ってことでいいんだよね?」

「うん」

「あぁ〜良かったぁ!もし予想が的中してたらどうしようかと思ったよ。梅とは恋のライバルになんかなりたくないもん」

「ならないから安心して」

「てことは…ホントにこの絵の共通点探して悩んでるの?」

多少の誤魔化しに罪悪感がありつつも、「そう」と返答すると、七恵は絵を目を凝らして真剣に見つめはじめた。