イラ子たちは、教室内を見渡し始め、
「ライトくぅーん!」
ライトの姿を見つけるなり、周りに見せつけるかのように名前を呼んだ。
よかった、話題が外れて。
ホッと安堵の表情を浮かべる私の隣では、明らかに怪訝そうな表情でライトがイラ子たちに目を向けている。
「さっき言いそびれたんだけどぉー、今度の日曜日、一緒に映画観に行こぉ」
「あー…予定あるからムリ。他のやつに当たって」
「えぇ~…ライト君じゃないと意味ないんだけどぉー!」
そう言って可愛く口を尖らせるイラ子。
あの子…トイレにいた子だよね?
目元はもちろん、口調や表情がさっきと随分変わっていてまるで別人だ。
ライトの前では"女の子"を演じているらしい。
器用だなぁ…なんて、思わず感心してしまう。
ふと、七恵の様子が気になってそちらへ目を向けてみた。
彼女は落ち着かない様子でライトをチラチラと横目でうかがっている。
恋って大変そうだな。
ようやく、イラ子たちが去って行くと、ライトは疲れきった顔でため息を吐いた。
「あいつら最近しつこいんだよなぁ。しかも教室中に声を響かせやがって…嫌がらせかよ」
「ライトって意外とモテるんだね」
「まぁ、それなりにモテてはいるな」
わっ、否定しなかった。
じとーっと半目で見る。
「モテるって言ってもあぁいう目立つような女にだけど。オレ、あーいう派手な感じ苦手」
自分も派手なのにね。
よし、七恵の為に情報収集しておこうかな。
「じゃあ、どういう子がタイプなの?」
「梅沢…オレに興味あんの?」
「ないから」
食い気味で答えてやるとライトは「冗談だって」と笑う。
「そうだなー…、落ち着いた感じの大人っぽいほうがいいな」
「ふぅん」
七恵は化粧は薄めだし、落ち着いた感じといえば落ち着いてるとは思う。
喋ってしまうと…まあ、あれだけど。
七恵とライトが一緒に歩いているのを想像してみる。
外見のタイプが違いすぎて、違和感がある。
七恵には悪いけど、正直、派手な女子の方がしっくりきてしまう。
佐竹君もそうだ。
ライトと並んでると違和感がある。
うーん……
