隣の席の佐竹くんには…

教室へ戻ると、佐竹君の席でライトが優雅な顔して雑誌を読んでいた。

「そこ、佐竹君の席」

「知ってる。オレの席、一番前だから落ち着かなくて」

「ふーん…」

ライトがチラリと目を向けてきた。
そして、ニッコリと笑みを作った。
わざとらしく。

「今、あいつ先生に呼ばれてっから。そろそろ戻ってくるからそんなに心配すんなよ。なっ、桜井」

いたずらっぽい笑みを浮かべて七恵に同調を求めるライト。

七恵はまさか自分に返答を求めてくるとは思わなかったようで「ひぇ!」と、変な声を発した。

「あ、もしかしてオレにビビってる?」

「えっ!う、ううん!ビビってないよ!!」

七恵は全力で首を横に振って否定する。

「ふぅん?」

「まさか話題を振ってくるとは思わなくて、油断してて、それでビビったっていうか…」

「ビビってんじゃん!」

「あ!間違えた!“ビビった”んじゃなくて“ビックリ”したの!嘘じゃないよ!」

手振りを交えて必死に弁解する七恵に、ライトは笑う。

「桜井って面白いのな」

「っ…!」

頬がボッ!と真っ赤に染まった。

そうして七恵は緊張に耐えられなくなってしまったようで、そそくさと自分の席へ戻ってしまった。

七恵、可愛いなぁ。

微笑ましい気持ちで七恵の後ろ姿を見送ってから、ライトを見る。

表情はいつもの調子で。

「私、佐竹君が戻るとか戻らないとかそんなこと心配してないけど」

「ふぅん?どうだか」


この人は何が言いたいの?

もう、無視しよう。


無言で席に着くと、

「佐竹情報の時間です」

「なに?」

緊急速報みたいにライトが言うもんだから、まんまと興味を示してしまった。