隣の席の佐竹くんには…

「なんか…ごめん…」

「ううん。謝るのは私のほうだよ」

「??」

なんで?と、訴えるように首を傾げてみせた。

「さっき、梅は佐竹君のこと庇ってたけど、私はできなかったから」

「いや…それは別に七恵が謝ることじゃないでしょ」

「うん…。でも…」

「むしろ、謝るのはあの子たちだと思う。私にじゃなく、佐竹君にね。佐竹君のこと知ろうともしないで、言いたい放題言って。あれは理不尽にも程がある」

七恵は少し俯きながら「そう…だよね…」と歯切れ悪く呟くと、少し間をあけた後、気まずそうにこっちを見た。

「正直、私もあの子たちと同じようなこと思ってたんだ。ライト君の印象を悪くしてるのは佐竹君のせいなんじゃないかって。…ごめんね」

「それこそ、私に謝る事じゃないでしょ」

「あは。そうだよね」

そうして七恵は少しの間考える仕草をとると「…うん!」と、何かを決めたかのような声をあげた。

「私も佐竹君のことちゃんと見てみる。梅みたいに興味もてるかわからないけど」

まだ少しだけ複雑そうな表情を浮かべている。

それでも、佐竹君への抵抗が少しだけ薄れてきている、そんな七恵の変化が、なんだか嬉しかった。

「この間、佐竹君の目元が少しだけ見えたの」

「あ、それは興味ある!どんな感じだった?」

「一瞬だけだったからよくわかんなかった」

「えぇ~…なぁんだ」

そう言って残念そうに口を尖らせる七恵に、口元が綻ぶ。



…少しずつ、佐竹君のこと知ってもらえればいいな。


どうしてそう思うのか、自分でもよくわからないけれど。


でも、この時はただ純粋にそう思った。