隣の席の佐竹くんには…

「廊下を歩いてたら急にアイツが曲がり角から現れて!その時に携帯落ちて、カバーの角に傷ついてさ!しかもビビった拍子につけまがぶっ飛んだからね!」

確かに、あのビジュアルが急に出てきたら驚いてしまいそうだけど。

イラ子は「ライト君に見られちゃったし、ホント最悪っ!」と文句をたれながらも、手慣れた手つきで目元の改造を再開させた。

言い方からして、どうやらライトに気があるようだ。

あの男、こういう派手めの子にモテるんだ。

あ、でも七恵は清楚系か…。

ちらりと横目で七恵の様子を伺うと、彼女は不安そうな顔を浮かべている。


そっか。
ライバルになるってことだもんね。

私はまだ味わったことのない感覚だ。

恋をするのって結構大変そうだな…なんて思っているところへ、「あ。ねぇ!」とイラ子が何か思いついたような声を出して鏡越しにこちらを見てきた。

「あんた、佐竹に忠告しておいてよ。ライト君に近づくなって」

はっ…?

思わず、自分に人差し指を向けた。

私が?

「なんで?」

「アイツのせいでライト君、悪者扱いされてんだよね。強さを引き立てるために佐竹を連れ回してるとかさ。そんな姑息なことするわけないのに」

そうそう!と、B子が頷いているのと同様に、七恵も力強く頷いている。

この空間はライト信者で統一されてしまった。

いや、確かに誤解されてるかもしれないけれども。

だからと言って佐竹君を悪者にするのは違う。

このままじゃ、誤解が広がるだけだ。