隣の席の佐竹くんには…

私はというと、慣れた手つきで目元や眉に色をつけていく彼女たちを見て、

(しかし器用だな)

と、呑気に観察中。

そして、鏡に映る自分の顔を確認するなり思う。

味気のない顔…。
少しくらい化粧したほうがいいのかな?

そうすれば、この無表情な顔にも少しは明るく見えるかもしれないし…

って…何考えてんだろう。
別に明るくなりたいわけじゃないのに。

なぜそんなことを思ったのか分からない。

自分らしくない自分に、少し動揺した。

いつもの自分に戻すため、両頬をパチンと叩いてみようと手を構えたところで、イラ子たちの会話が耳に入ってきて、意識がそちらに傾く。

「てかさ、あの前髪ヤバくない?絶対前見えてないでしょアイツ」

前髪って…

「ウザ。佐竹マジでムカつく」

やっぱり…

「佐竹君が、どうしたの?」

つい佐竹君の名前に反応してしまい、気づいたらイラ子に問いを投げかけていた。

そんな私に七恵は、ギョッとした顔でフリーズしている。


イラ子たちは「は?」と不機嫌そうにこちらへ振り向いた。

「えっ、何?もしかして、佐竹と同じクラス?」
「同じクラスの隣の席」

そう答えると、イラ子の友人(以後、B子)が「うっわー災難じゃん」と哀れんだ顔で言う。

災難て…。

私のこめかみあたりがピクリと動く。

「いやいや、あたしのが災難だから。見てよコレ!」

そう言って、イラ子は手に握っていたものをズイッと私の前へ突き出してきた。