隣の席の佐竹くんには…

佐竹君が隣になってから数日。

「梅沢さん、おはよう」
「おはよう」

相変わらずの長い前髪の佐竹君。

相変わらずのポーカーフェースの私。

隣の席になってからわずかな時間で、すっかり打ち解けた。

以前とは違う雰囲気を放つ私たちに、最初に気づいたのは七恵だった。


「ねぇ。佐竹君と話してる時、いつもと雰囲気違わない?」
「そう…かな?」

休み時間。

女子トイレの鏡で七恵は髪をとかしながら、鏡越しに映る私を不思議そうに見る。

「もしかして……佐竹君に呪いかけられた?」

そう言った七恵の顔は本気そのものだ。

この子は…。

まあ、自分も『魔術が使えるんじゃないか』なんて似たようなことをつい最近まで思ってはいたが、さすがに本気で信じていたわけではない。

「呪いはかけられてないけど、佐竹君を見る目は変わった…かな」

「えぇ!?目に呪いが!?」

違うよね。

「話してみると全然普通だよ」

「えぇ~…」

「七恵も話してみたら?面白いよ」

「え〜…興味ないし無理」

乗り気にならないといった感じで、七恵は鏡越しに映る自分を見て、今度は化粧をし始める。

面白いと思うんだけどなぁ。

乗り気じゃない七恵に、少しつまらなさを感じながら、自分の髪を手ぐしで適当に整えていると…

「マジ最悪っっっ!」
「心臓止まるかと思った!」

イライラオーラ全開の派手めな女子二人組が現れた。

特にイライラしている女子は鏡の前に化粧ポーチを乱暴に置くと、「あいつホントウザい!邪魔しやがって」と、ブツブツ文句を言いながら化粧をし始めた。

以後、イラついてる女子を“イラ子”と呼ぼう。

そんなイラ子たちと関わりたくないのか、七恵は化粧を中断して、さりげなく距離をとっていく。