「ねぇ、梅はいないの、好きな人?」
「へっ!?」
急にぶっこんだ質問をしてくるものだから、思わずドキリとしてしまった。
「好きな人は…いないよね」
「そっかぁ。梅って恋愛とか興味なさげだもんね。てか、ドキドキしなさそう」
それ、どういう意味でしょうか?
「恋愛漫画とか小説とか読むの好きだし、ドキドキもするし」
「漫画なんて妄想の世界でしょ。現実の恋とは違うよー」
「それはそうだけど…」
「気になる人とかもいないの?」
気になる人…。
その言葉に一瞬だけある人の姿が脳裏に浮かんだ。
前髪ロングで表情の見えない彼が…。
……いやいやいや!
何故、佐竹君が…?
たしかに佐竹君のことは気になってはいる。
でも、それは佐竹君が外見からして謎な人だからで、ただ単に”気になってる”ってだけであって…
そこに恋愛的な要素は含まれていない。
つまり。
好きとかそういう特別なものではない。
…うん。全くない。
一人で納得してうんうんと頷いている私に、七恵は不思議そうに首を傾げている。
「もし、梅も好きな人できたら教えてよ。全力で応援するから!」
「あー…うん。ありがとう」
好きな人…か。
もし好きな人ができたら七恵みたいに可愛くなれるのかな?
未来のいつか現れるであろう想い人にドキドキしちゃってる自分の姿を想像してみる。
……。
うーん。
ダメだ。
全く想像(妄想)できない。
私は恋愛漫画読んでドキドキしてるだけで充分だ。
