隣の席の佐竹くんには…


「……よし。全員席移動完了したなぁー。新学期はこの席でスタートするぞー」

ほんわか口調の担任・中本先生に、教壇付近から「うわーマジかよ」と「最悪ー」の不満の声が上がる。

その様子を”後ろの席”から眺めていた。

念願の後ろの席をゲットした。
しかも窓際の最後尾。

最高すぎる!

中央列の斜め前の席から「やったねー!」と合図を送ってきてくれている七恵に、無表情のまま親指をグッと立てた。

これで二学期は平和に過ごせること確定だ。

クラスのみんなの後ろ姿を見渡してみる。

あぁ、なんて良い眺め。

少しだけ優越感を覚えながら、周りを見回す。

その時、隣の席の男子と目があった。


「梅沢さん、今日からよろしくお願いしますね」

「え…、あぁ、こちらこそよろしくお願いします」

男子はかけていたメガネをクイっと持ち上げて、興味無さそうに黒板の方へ顔を向けた。

偉そうな態度。

そんな隣の席の男子は、黒縁メガネと七三分けが特徴の小林君。

見た目通りの真面目な性格で、見た目通り学級委員長をしている。

ふと、数分前の七恵が言っていた『隣になった男子と気づいたら恋に発展!』というフレーズを思い出す。


小林君と、恋…。

いやいやいや。
ありえない。

このぴっちり七三に興味を持つなんて… 途中まで想像しかけた脳内映像を慌てて打ち消す。