隣の席の佐竹くんには…

♦︎佐竹side♦︎


一方、佐竹たちはパン買い競争で得た戦利品を持って屋上に来ていた。

「なぁ、次パン早食い競争しねぇ?」

そう言ってウキウキした様子で両手にパンを持つライトはやる気満々。

「ちゃんと咀嚼しないと胃が荒れるよ」

「んだよ。さっきオレと張り合ってたやる気はどこいったんだよ。久々にお前のそういうノリが見れて楽しかったのになー」

「ただの気まぐれだよ」

ライトはつまんねぇーとボヤいて、潰れた焼きそばパンに食らいつく。

あの時は梅沢さんの体調が心配になって、代わりに買ってきてあげようと思った。

確保できる確率を上げるためにライトに協力してもらおうと目配せした。

勝負しようと思ったわけじゃないけど、結果的にそういう形になってしまっただけ。


…─昔からそうだった。


ライトと二人で何かしていると、気づいたら勝負事になっている。

勝てばもちろん嬉しいし、負けても楽しい気持ちの方が勝ってるから二人で飽きるまで勝負して…そんな時間が好きだった。

(…久しぶりの気持ちだな)

目の前に積まれた戦利品を見つめながら昔の感覚を思い出していたら、フッと軽く笑みがもれた。

それにライトが気づいて言う。

「何笑ってんの?」

「え…っと、梅沢さん面白いなーと思って」

自分でもよくわからないけど笑った理由をなんとなく誤魔化してしまった。

答えを早く出そうと脳をフル回転させた結果、数分前の出来事を理由にあげると、その答えに「梅沢?」とライトは首を捻る。

「あいつ何か面白い事してたっけ?」

「普段クールな人なのに、ちくわパンの事になったら我を忘れかけてたから面白くて」

「確かにな。どんだけちくわ好きなんだろうな」

ハハッと笑うライト。

梅沢さんが面白かったっていうのは本当。

誤魔化すために本当の事を混ぜたおかげか、それっぽく聞こえたようでホッとした。

……ちくわパン、無表情で食べてるかな?

不意に想像したら笑いが込み上げてきて、今度は本当に心の中で笑ってしまった。

梅沢さんはクールだと思っていたけど、どうやらそんなこともないようだ。


…どんな人なんだろう。