隣の席の佐竹くんには…


「あっ、そうだ。お金…」

と、軽く片脇にパンを挟んでお財布から小銭を探しだすと、私と七恵は二人に代金を渡した。

二人とも「いらない!」って男前なこと言ってなかなか受け取ろうとしなかったけど、こっちも「受け取ってもらえないと食べづらいから」って主張して、どうにか受け取ってもらった。

他愛のない話をしながら何事もなかったように、その場から離れて行く二人の後ろ姿を見送っていると、

「響君て怖い人かと思ってた」

と、隣で七恵がポツリと呟いた。

「話してみると普通でしょ?」

「うん。しかもね、私の焼きそばパンの潰れ具合を見かねて、食べづらいだろうからってコロッケパンと交換してくれたの」

パンを見つめながらそう話す彼女の表情は、何か思考を巡らせているような、けど、どこか柔らかさもあって。

つられるようにメロンパンに視線を移して思う。


佐竹 光秀…


根暗そうだと思ってたけど、意外と積極的な行動をするし、普通に笑うし。


…あなたは一体どんな人なんだろう。


そんな事を思いながら、佐竹君のオススメだというメロンパンを一口食べてみる。

(…あ、美味しい)

素朴だけど、ちょうどいい甘さで食べやすい。

(これ、好きかもしれない)

自分でも気づかないうちに、フッと笑みが漏れていた。