隣の席の佐竹くんには…


警戒心を解いてライトと普通に話す七恵の様子にホッとしていると、

「梅沢さんはちくわパンの他に何か食べたいのある?遠慮はなしね」

と、佐竹君が話しかけてきた。

「ありがとう。でも、これだけで充分だよ」

「そう?そしたら—…」

佐竹君は自分の手元からメロンパンを選ぶと、胸元で抱えていたちくわパンの上へと置いた。

「メロンパン、食べたことある?」

「ううん。まだない」

「これ、オレのオススメ。食べてみて」

「あ…ありがとう」

好意を無駄にするのは良くないよね。

素直に受け取ると、佐竹君は口元をニコッとさせた。

「っ……」

不意に胸のあたりがドクンとした。


…なんだろう?

不思議な感覚が走ったけれど、

「梅沢の命だっていうちくわパン、穴にぎっしりツナが詰め込まれてんだな。もっとスッカスカの安そうなパンかと思ってた」

「ライト、それ梅沢さんに失礼だよ。まるで梅沢さんの命が安いみたいに」

「そこまで言ってねぇだろ。お前のが失礼だからね」

「「ホントに」」


そんな会話をしているうちに、数秒前の不思議な感覚は消え去っていた。