隣の席の佐竹くんには…



「梅沢さん、他にもパンあるから食べていいよ」

「HP全回復するためにはこのくらい必要だろ?」

二人はゲットした戦利品全てをズイッと私に向ける。

「いや、こんなにいらないって」

こんなに食べたら全回復どころか大技出るわ。

そこへ、

「あーぁ、いちごパン売り切れちゃったよー…」

残念そうにつぶやきながら七恵が戻ってきた。

手には仕方なく買ったと思われる焼きそばパンが横から具がはみ出るくらいに握られている。

「随分いちごから遠ざかったもの買ってきてるね」

「えっ!梅、ちくわパン三つも買えたの!?」

「あ、これは私じゃなくてこの二人が…」

両手が塞がっているため目線を二人に向けて示す。

その方向にいる人物に気づいたら七恵は「はっ!」と驚き、私の背後へササっと回り込んだ。

佐竹君は言うまでもなく、ヤンキーが苦手な彼女は、警戒の目でジッと二人を見つめる。

まるで毛を逆立てて威嚇している猫のよう。

感情をあからさまに出し過ぎてる七恵の態度を見ていたら、なんだか二人に申し訳なくなってきた。

えっと…と、七恵の方へ視線を送って説明する。

「体調悪くなりかけてた私の代わりに、二人が買ってきてくれたの」

「えっ…!そう…なの?」

七恵は目を丸くして驚いた表情を浮かべると、その顔のまま二人を見た。

そんな七恵にライトがニカッと笑いかける。

その笑みは少しからかってるようにも見える。

「桜井の買いたかったであろうパンもあるよ」

そう言って、手元からパンを一つ摘み上げるとそれを七恵に差し出すライト。

七恵は動揺しつつも目の前に突きつけられたパンを見るなり、さらに驚く。

「えっっっ!?いちごパン!なんで知って…っ」

「人混みの中で叫んでたじゃん。いちごパーーンって」

「やだー!恥ずい!!!」と一気に顔を赤らめる七恵に、ハハッと笑うライト。

ぱっと空気が和んだのがわかった。