少しして、人数分のノートの山を持った佐竹君が戻ってきた。
佐竹君はノートを教卓の上に置いて、自分の席へと戻ってくるなり学級日誌を開きだした。
(この人、真面目だなぁ)
しかし、よくそんな前髪で字が書けるものだ。
チラリと横目でさりげなく日誌を覗いてみる。
(…ふぅん、結構 字上手いんだ)
若干丸文字。
可愛い字だなぁ。
思わずフッと声をもらしてしまった。
それに気づいた佐竹君は「ん?」と、こちらに振り向く。
「どうかした?」
「いや…別に」
冷静にそう返して、何事もなかったように視線をそらしたものの、内心はちょっと動揺していたりする。
…なんか面白い。
ほんの小さな事でも、佐竹君の意外な面を発見すると、不思議な気持ちが膨れ上がってくる。
もっと知りたいなぁ。
…少しずつ、心は佐竹君という謎の人物に支配されていた。
