リフォーム営業マンの小さなドキドキ短編集

現場と言っても、いろいろある。

1日で終わる仕事もあれば、空き家のフルリフォームなど、2〜3ヶ月かかる現場もある。

長期の現場は、だんだんとルーティンが決まってくる。

その起点になるのが、コンビニだ。

まず現場が決まる。

そうなると、必ず近くのコンビニを探す。

そこを、携わってくれる職人さんたちとの集合場所にする。

一服のお茶を買ったり、お昼の拠点にしたり。

その日も俺は、現場の契約を終え、拠点に決めたコンビニへ向かった。

午前10時30分頃。

レジには、30代半ばくらいだろうか。

感じの良い女性がいた。

契約までに何度か通っていたそのコンビニでは、午前中ならいつもその女性が接客してくれた。

買うものも、だんだん決まってくる。

早い時間帯は、電子タバコの87番と缶コーヒー。

昼間は、職人さんたちのお茶。

お昼は、お弁当かカップラーメン。

そんなルーティンになっていった。

現場も始まり、もう何回……いや、何十回通っているだろう。

そんなある日の朝だった。

いつものように、その女性がレジにいた。

缶コーヒーをレジに置き、

「タバコ……」

と言おうとした、その時だった。

女性は87番から、俺のタバコを取った。

「えっ?」

覚えてくれてるって……すごっ。

プロの仕事を見せられた。

次の日も。

その次の日も。

なんだか、常連になったみたいで嬉しかった。

接客って、こういうことなんだよな。

素直に、学びすら感じた。

それから少しずつ、一言、二言と会話を交わすようになっていった。