買い物をおえて4人はキャンプ場にたどり着いた
キャンプ場といっても
綺麗に区分けされたコテージが並んでいる
コテージが二つ並んでその間に開けたキャンプ用のスペースがある
美月に真帆が耳打ちする
「なんか凄い所に連れてこられたわよ」
「これって1泊いくらするの?」
「知りたくないわね」
「すごい金額よ……きっと」
「あの二人についてくると」
「こんな感じばっかりね」
「そちらが美月と真帆さんのコテージ」
「こちらが俺と達也のコテージだ」
「間にあるスペースは好きに使っていい」
達也は大きな袋を背負ってやってきた
「達也さん、それなに?」
「テントだよ」
「え?」
「そんな大きいの?」
「4人でくつろげるやつ借りてきたんだ」
「せっかくキャンプに来たんだからな」
達也は袋を地面へ降ろすと
中から折り畳まれた布と何本もの長い骨組みを取り出した
「よし、怜司」
「そっち持ってくれ」
「分かった」
二人は長い骨組みを繋ぎ
大きく弓なりに曲げていく
美月と真帆は少し離れたところからその様子を眺めていた
「なんか……」
「私が想像してたテントと違うんだけど」
「私も」
「もっと三角形の小さいやつ想像してた」
達也の指示で
二人は手慣れた様子でテキパキとテントを組み立てていく
真帆と美月は並んで座ってそれを見ている
真帆が美月を横目で見る
「達也さんって頼りになるね」
「うん……」
「こういうところはかっこいいのよね」
「あれ?」
「達也さんにちょっとトキメイてる?」
美月は小さなため息をつく
「真帆」
「そういうこと言わないでよ」
やがてベージュ色の大きな布が持ち上がり
半円をいくつも繋げたような長いテントが姿を現した
正面には大きく張り出した屋根まであり
その下にはテーブルや椅子を並べられるほどのスペースがある
中も広く、大人が立ったまま歩けるほどの高さがあった
「でかっ!」
美月が思わず声を上げる
「これテントなの!?」
「もう家じゃない!」
達也が得意げに笑う
「いいだろ?」
「雨降ってもここで飯食えるし」
「夜もみんなでくつろげるぜ」
「達也さん」
「本当にキャンプが好きなんだね」
「おう」
「こういうの組み立てるのが楽しいんだよ」
「火を起こすぜ、やってみるか?」
「うん、やってみたい!」
「じゃ、まずは薪集めだな」
「近くの森に落ちてる枝なら拾ってもいいんだよ」
真帆が大きな声で言った
「それじゃ!」
「美月と達也さんで薪を集めてきてね!」
「私と怜司さんは料理の下ごしらえしましょ!」
達也が呆れたように真帆を見る
「真帆さん」
「変な気を回さねえでくれよ」
「それは違うわ」
「これは適材適所よ!」
「怜司さん、料理が得意なんでしょ?」
「私もそうなの!」
「じゃあ、達也さんは?」
「カップラーメン位なら……」
「それで、美月は?」
「簡単なものなら……」
「ほらみなさい」
「あなたたちは薪拾いよ」
美月は小さく肩を落とした
「真帆のいうとおりね~」
「私には荷が重いわ」
「行きましょう、達也さん」
「お、おう!」
真帆はニヤリと笑って美月を見る
『決めてこい』と口の動きだけで伝える
達也は軍手と薪を入れるための大きな袋を二つ持ってきた
「美月さん、これ使えよ」
「ありがとう」
美月は軍手をはめて両手を広げる
「なんかキャンプっぽくなってきた!」
「まだ何もしてないだろ」
「私キャンプ初心者よ、全部が目新しいんだから」
「アニメで勉強したんだろ」
「あとは実戦だな」
「予習は完璧よ!」
「じゃあ、どんな薪拾えばいいのか分かるか?」
美月は足元に落ちていた枝を拾い上げる
「これ!」
「それ、湿ってるぞ」
「じゃあ、これ!」
「太すぎるぞ」
「これは?」
「それ腐ってるぞ」
美月はむっとして達也を見る
「どれならいいのよ?」
「達也さん教えてよ」
「予習完璧なんじゃなかったのかよ」
「アニメでは薪の種類まで説明してなかったのよ!」
「その辺の適当に拾ってたわ」
達也が笑いながら一本の枝を拾う
「こういう乾いてて」
「折った時にパキッていくやつがいいんだよ」
達也は枝を両手で折る
乾いた音を立てて簡単に二つに折れた
「なるほどね~」
美月も近くに落ちていた枝を一本拾う
両手に力を込めた
「ふんっ!」
「お! 頑張れ美月さん」
「んんっ!」
枝は曲がっただけで折れなかった
「美月さん、それ生木だぞ」
「そうなの?」
「早く言ってよ」
達也が声を上げて笑う
「なんか可愛かったからよ」
「ついな」
一瞬美月の動きが止まる
慌てたように右手で胸を押さえる
「達也さん」
「そういうこと急に言うのやめて」
美月は枝を達也へ投げる真似をする
「悪い悪い」
二人はそんな軽口を交わしながら森の中を歩いた
気が付けば二人の袋には
それなりの量の薪が集まっていた
「結構集まったね」
「これだけあれば十分だろ」
美月は袋を揺らしながら周囲を見回した
「なんかさ」
「こういうの楽しいね」
「薪拾いが?」
「うん」
「森を歩いたり、枝を集めたり」
「なんか外で遊ぶのもいいよね」
「普段やらないことするのが楽しい」
達也が美月を見る
「美月さん、こういうの好きそうだもんな」
「自分じゃ絶対やろうと思わないけどね」
「一人なら家でアニメ見てるわよ」
「達也さんがいるから」
「安心して楽しめるのかも」
「だったら」
「いつでも俺が連れてきてやるよ」
「ありがとう」
「でも」
「さりげなく私の心を乱そうとしないで~」
「言われるたびに」
「私は大変なんだから」
「美月さんも」
「人のこと言えねえくせに」
美月はそんな達也を見ながら思う
達也さんといると……楽しい
達也さんは、いつだって……
本当に優しくしてくれた……
その時、美月の耳に水の流れる音が聞こえた
「あれ?」
木々の間を覗く
少し下ったところに小さな沢が流れていた
「達也さん、川あるよ!」
「沢だよ、美月さん」
美月は嬉しそうに沢へ近づいていく
「おい、滑るから気をつけろよ」
「その辺、濡れてっから」
「大丈夫、大丈夫」
美月は沢の脇にしゃがみ込み
流れる水へ手を入れた
「つめた~い!」
「山の水だからな」
「飲んじゃダメだぞ」
美月は何度も水をすくっては楽しそうに笑う
達也は美月のすぐ後ろで
その様子を見ていた
「子供みてえだな」
「うるさいわね」
「都会っ子の私には珍しいのよ」
「美月さんって出身はどこなの?」
「多分、東京」
「物心がついた時には、今のアパートにいたわ」
「ママは東京の人じゃなかったみたいだけど」
「故郷とか親戚とか、一度も教えてくれなかった」
「美月さん……」
「悪い、俺も似たようなもんだけどよ」
「今のは軽率だった」
美月は沢に手を入れてゆらゆらと揺らしながら笑った
「達也さんってさ、優しいよね」
「すぐに私の気持ちに気付いてくれて」
「すごいな……って思う」
「俺なんか、凄くねえよ」
「ねえ、達也さん」
「ん?」
「私の話……」
「聞いてくれる?」
「達也さんに、聞いて欲しいの」
キャンプ場といっても
綺麗に区分けされたコテージが並んでいる
コテージが二つ並んでその間に開けたキャンプ用のスペースがある
美月に真帆が耳打ちする
「なんか凄い所に連れてこられたわよ」
「これって1泊いくらするの?」
「知りたくないわね」
「すごい金額よ……きっと」
「あの二人についてくると」
「こんな感じばっかりね」
「そちらが美月と真帆さんのコテージ」
「こちらが俺と達也のコテージだ」
「間にあるスペースは好きに使っていい」
達也は大きな袋を背負ってやってきた
「達也さん、それなに?」
「テントだよ」
「え?」
「そんな大きいの?」
「4人でくつろげるやつ借りてきたんだ」
「せっかくキャンプに来たんだからな」
達也は袋を地面へ降ろすと
中から折り畳まれた布と何本もの長い骨組みを取り出した
「よし、怜司」
「そっち持ってくれ」
「分かった」
二人は長い骨組みを繋ぎ
大きく弓なりに曲げていく
美月と真帆は少し離れたところからその様子を眺めていた
「なんか……」
「私が想像してたテントと違うんだけど」
「私も」
「もっと三角形の小さいやつ想像してた」
達也の指示で
二人は手慣れた様子でテキパキとテントを組み立てていく
真帆と美月は並んで座ってそれを見ている
真帆が美月を横目で見る
「達也さんって頼りになるね」
「うん……」
「こういうところはかっこいいのよね」
「あれ?」
「達也さんにちょっとトキメイてる?」
美月は小さなため息をつく
「真帆」
「そういうこと言わないでよ」
やがてベージュ色の大きな布が持ち上がり
半円をいくつも繋げたような長いテントが姿を現した
正面には大きく張り出した屋根まであり
その下にはテーブルや椅子を並べられるほどのスペースがある
中も広く、大人が立ったまま歩けるほどの高さがあった
「でかっ!」
美月が思わず声を上げる
「これテントなの!?」
「もう家じゃない!」
達也が得意げに笑う
「いいだろ?」
「雨降ってもここで飯食えるし」
「夜もみんなでくつろげるぜ」
「達也さん」
「本当にキャンプが好きなんだね」
「おう」
「こういうの組み立てるのが楽しいんだよ」
「火を起こすぜ、やってみるか?」
「うん、やってみたい!」
「じゃ、まずは薪集めだな」
「近くの森に落ちてる枝なら拾ってもいいんだよ」
真帆が大きな声で言った
「それじゃ!」
「美月と達也さんで薪を集めてきてね!」
「私と怜司さんは料理の下ごしらえしましょ!」
達也が呆れたように真帆を見る
「真帆さん」
「変な気を回さねえでくれよ」
「それは違うわ」
「これは適材適所よ!」
「怜司さん、料理が得意なんでしょ?」
「私もそうなの!」
「じゃあ、達也さんは?」
「カップラーメン位なら……」
「それで、美月は?」
「簡単なものなら……」
「ほらみなさい」
「あなたたちは薪拾いよ」
美月は小さく肩を落とした
「真帆のいうとおりね~」
「私には荷が重いわ」
「行きましょう、達也さん」
「お、おう!」
真帆はニヤリと笑って美月を見る
『決めてこい』と口の動きだけで伝える
達也は軍手と薪を入れるための大きな袋を二つ持ってきた
「美月さん、これ使えよ」
「ありがとう」
美月は軍手をはめて両手を広げる
「なんかキャンプっぽくなってきた!」
「まだ何もしてないだろ」
「私キャンプ初心者よ、全部が目新しいんだから」
「アニメで勉強したんだろ」
「あとは実戦だな」
「予習は完璧よ!」
「じゃあ、どんな薪拾えばいいのか分かるか?」
美月は足元に落ちていた枝を拾い上げる
「これ!」
「それ、湿ってるぞ」
「じゃあ、これ!」
「太すぎるぞ」
「これは?」
「それ腐ってるぞ」
美月はむっとして達也を見る
「どれならいいのよ?」
「達也さん教えてよ」
「予習完璧なんじゃなかったのかよ」
「アニメでは薪の種類まで説明してなかったのよ!」
「その辺の適当に拾ってたわ」
達也が笑いながら一本の枝を拾う
「こういう乾いてて」
「折った時にパキッていくやつがいいんだよ」
達也は枝を両手で折る
乾いた音を立てて簡単に二つに折れた
「なるほどね~」
美月も近くに落ちていた枝を一本拾う
両手に力を込めた
「ふんっ!」
「お! 頑張れ美月さん」
「んんっ!」
枝は曲がっただけで折れなかった
「美月さん、それ生木だぞ」
「そうなの?」
「早く言ってよ」
達也が声を上げて笑う
「なんか可愛かったからよ」
「ついな」
一瞬美月の動きが止まる
慌てたように右手で胸を押さえる
「達也さん」
「そういうこと急に言うのやめて」
美月は枝を達也へ投げる真似をする
「悪い悪い」
二人はそんな軽口を交わしながら森の中を歩いた
気が付けば二人の袋には
それなりの量の薪が集まっていた
「結構集まったね」
「これだけあれば十分だろ」
美月は袋を揺らしながら周囲を見回した
「なんかさ」
「こういうの楽しいね」
「薪拾いが?」
「うん」
「森を歩いたり、枝を集めたり」
「なんか外で遊ぶのもいいよね」
「普段やらないことするのが楽しい」
達也が美月を見る
「美月さん、こういうの好きそうだもんな」
「自分じゃ絶対やろうと思わないけどね」
「一人なら家でアニメ見てるわよ」
「達也さんがいるから」
「安心して楽しめるのかも」
「だったら」
「いつでも俺が連れてきてやるよ」
「ありがとう」
「でも」
「さりげなく私の心を乱そうとしないで~」
「言われるたびに」
「私は大変なんだから」
「美月さんも」
「人のこと言えねえくせに」
美月はそんな達也を見ながら思う
達也さんといると……楽しい
達也さんは、いつだって……
本当に優しくしてくれた……
その時、美月の耳に水の流れる音が聞こえた
「あれ?」
木々の間を覗く
少し下ったところに小さな沢が流れていた
「達也さん、川あるよ!」
「沢だよ、美月さん」
美月は嬉しそうに沢へ近づいていく
「おい、滑るから気をつけろよ」
「その辺、濡れてっから」
「大丈夫、大丈夫」
美月は沢の脇にしゃがみ込み
流れる水へ手を入れた
「つめた~い!」
「山の水だからな」
「飲んじゃダメだぞ」
美月は何度も水をすくっては楽しそうに笑う
達也は美月のすぐ後ろで
その様子を見ていた
「子供みてえだな」
「うるさいわね」
「都会っ子の私には珍しいのよ」
「美月さんって出身はどこなの?」
「多分、東京」
「物心がついた時には、今のアパートにいたわ」
「ママは東京の人じゃなかったみたいだけど」
「故郷とか親戚とか、一度も教えてくれなかった」
「美月さん……」
「悪い、俺も似たようなもんだけどよ」
「今のは軽率だった」
美月は沢に手を入れてゆらゆらと揺らしながら笑った
「達也さんってさ、優しいよね」
「すぐに私の気持ちに気付いてくれて」
「すごいな……って思う」
「俺なんか、凄くねえよ」
「ねえ、達也さん」
「ん?」
「私の話……」
「聞いてくれる?」
「達也さんに、聞いて欲しいの」
