少しむっとした表情の達也がアパートの前に立っている
達也はアイボリーのスウェットに
ベージュとブラウンのチェック柄のシャツジャケットを羽織り
ブラウンのパンツを合わせていた
その足元には大きなバッグが置いてある
「怜司の野郎、いつのまにか帰ってきやがって」
「美月さん大丈夫かよ……」
「なんでいきなり旅行することになったんだ?」
アパートの方から足音がする
ころっと達也の表情が笑顔に変わった
階段から降りてきたのは怜司だった
グレージュの薄手のブルゾンに
ダークオリーブの細身のパンツを合わせている
「達也、早いな」
達也の表情が一気に曇る
「なんだよ、怜司かよ」
「美月さんの前にツラ出すなって言っただろ」
「また泣かせたら」
「あんなもんじゃ許さねえからな」
「ああ、分かっている」
「俺は二度と逃げない」
「達也に殴られて、ずいぶん目が覚めた」
「ありがとう」
「怜司に気合いが戻ったのは嬉しいけどよ」
「俺としてはすっこんでおいて欲しかったぜ」
「まあいいや」
「選ぶのは、美月さんだからな」
怜司は達也の胸に右の拳を軽く当てた
「当たり前のことを言うな」
「恨みっこなしだ」
「俺っていい奴過ぎるんだよな」
怜司が小さな笑顔を向ける
「確かにな」
「俺は車を持ってくる」
「ここで待ってろ」
「おう」
怜司の背中を見ながら
達也がぽつりと呟いた
「怜司って」
「あんな風に笑えたんだな……」
その後すぐに階段の上からバタバタと足音がする
「お、美月さん来たな」
「足音ですぐにわかるぜ」
美月が大きな荷物を持って階段を降りてきた
「おはよ~、達也さん」
「美月さん、おはよう」
「凄い荷物だな、俺が持つぜ」
「いいよ、悪いもん」
「天気が晴れで良かったね」
「おう」
「楽しくやろうぜ」
美月は達也の服装を見て少し笑う
「達也さん、かわいい服着てるね」
「相変わらず」
「いい感じに裏切ってくるわ」
「お!」
「ひょっとしてトキメイた?」
「そりゃ~もう」
「キュンキュンきましたよ~」
「ありがたや~ありがたや~」
「美月さんってキャンプ行ったことあるの?」
「一度もないわ」
「初めてなのよね」
「アニメでは沢山見たんだけど」
「キャンプのアニメってあるのか?」
「あるわよ」
「結構流行ってるんだから」
「へー、俺も今度見てみるわ」
「今日は怜司君の車で行くんでしょ?」
「おう、そうだよ」
「あの真っ赤なポルシェ?」
「マッサージ器みたいに振動するのよね」
「私、車酔いしそうよ」
「あのポルシェじゃないと思うぜ」
「美月さんの気を引くために買って」
「すぐに手放してたからな」
「え?」
「あれって怜司君の愛車じゃないの?」
「そんなわけねえだろ」
「あんな無駄の塊みたいなものを怜司が好むわけねえの」
「怜司はずっとプリウスだよ」
「合理的じゃねえと駄目なんだよ」
「そうなんだ」
「庶民的だね」
達也が伺うように美月を横目で見た
「美月さん」
「ん?」
「心配はいらなそうだな」
「うん、怜司君とは仲直りしたの」
「許したわけじゃないけどね」
「そっか」
「それとね……達也さん」
「ん?」
「達也さんへの返事……」
「もう少しだけ待ってください」
「おう」
その時
白いハイエースがアパートの前に停まった
背が高く、荷物をたくさん積めそうな大きなワンボックスカーだ
運転席から怜司が降りてきた
「待たせたな」
「おはよう、美月」
「うん、おはよう」
美月は怜司の姿に目を止めた
今日も……黒じゃないんだ
達也が車を見て目を細める
「ハイエース?」
「業務用じゃねえか」
「内装は自家用車用になっている」
「広くて快適だ、荷物も沢山積める」
怜司は車の後部座席の扉のスイッチを押す
自動でスライドして扉が開く
美月が車の中をのぞき込んで声を上げた
「うわ! ひろーい!」
「テレビもついてる!」
「なにこの座席! ふかふか!」
「ソファーみたい!」
「座席は特注だ、倒せば横にもなれる」
「冷蔵庫もある、荷物も邪魔にならない」
「改造した結果4人乗りになったが」
「美月と遊びに行くなら合理的だ」
「すごいね!」
「私の部屋より快適かも!」
「前のポルシェよりずっといいよ」
達也が呆れたように頭をかく
「たしかに、前よりいいな」
美月と達也は荷物を車に積み込む
怜司が運転席に座り
達也は助手席へ
美月は後部座席へ乗り込んだ
「怜司、なんで前の座席は普通のままなんだよ」
「前の座席に座るのは俺達だろう」
「必要ない」
「俺もフカフカがいいんだけど」
「わがままを言うな」
「これで十分だ」
「真帆さんを迎えに行こう」
「どこに行けば良いんだ」
「真帆は三鷹に住んでるの」
「駅の近くならどこでもいいんだって」
「北口の方が都合が良いみたい」
「わかった」
怜司は車を走らせる
美月はリクライニングする座席を倒して嬉しそうに横になった後に
冷蔵庫を開けて中を物色する
「怜司君、冷蔵庫の中の飲み物、飲んでもいい?」
「ああ、好きに飲んでくれ」
「二人にも飲み物取ろうか?」
「なにがいい?」
「俺コーラ、ありがと美月さん」
「お茶を頼む」
美月はコーラとお茶を二人に渡す
それから炭酸水を取り出して飲む
そしてまた座席に寝転んだ
「この車、広くていいわね!」
「アニメ見れたらもう言うことないわ」
「アニメなら観れるぞ」
「そこのテレビは動画サイトと繋げてある」
「好きなものを見てくれ」
「まじで!」
すぐに美月はリモコンを操作してアニメを物色しはじめた
「あ! これ見れてないのよ」
「なんか最近、アニメ見る時間が削られてるのよね」
「容量が一杯で、泣く泣く消してたんだから」
「好きなだけ見てくれ」
「ありがとう! 怜司君」
達也はそんな美月を黙って見つめていた
達也はアイボリーのスウェットに
ベージュとブラウンのチェック柄のシャツジャケットを羽織り
ブラウンのパンツを合わせていた
その足元には大きなバッグが置いてある
「怜司の野郎、いつのまにか帰ってきやがって」
「美月さん大丈夫かよ……」
「なんでいきなり旅行することになったんだ?」
アパートの方から足音がする
ころっと達也の表情が笑顔に変わった
階段から降りてきたのは怜司だった
グレージュの薄手のブルゾンに
ダークオリーブの細身のパンツを合わせている
「達也、早いな」
達也の表情が一気に曇る
「なんだよ、怜司かよ」
「美月さんの前にツラ出すなって言っただろ」
「また泣かせたら」
「あんなもんじゃ許さねえからな」
「ああ、分かっている」
「俺は二度と逃げない」
「達也に殴られて、ずいぶん目が覚めた」
「ありがとう」
「怜司に気合いが戻ったのは嬉しいけどよ」
「俺としてはすっこんでおいて欲しかったぜ」
「まあいいや」
「選ぶのは、美月さんだからな」
怜司は達也の胸に右の拳を軽く当てた
「当たり前のことを言うな」
「恨みっこなしだ」
「俺っていい奴過ぎるんだよな」
怜司が小さな笑顔を向ける
「確かにな」
「俺は車を持ってくる」
「ここで待ってろ」
「おう」
怜司の背中を見ながら
達也がぽつりと呟いた
「怜司って」
「あんな風に笑えたんだな……」
その後すぐに階段の上からバタバタと足音がする
「お、美月さん来たな」
「足音ですぐにわかるぜ」
美月が大きな荷物を持って階段を降りてきた
「おはよ~、達也さん」
「美月さん、おはよう」
「凄い荷物だな、俺が持つぜ」
「いいよ、悪いもん」
「天気が晴れで良かったね」
「おう」
「楽しくやろうぜ」
美月は達也の服装を見て少し笑う
「達也さん、かわいい服着てるね」
「相変わらず」
「いい感じに裏切ってくるわ」
「お!」
「ひょっとしてトキメイた?」
「そりゃ~もう」
「キュンキュンきましたよ~」
「ありがたや~ありがたや~」
「美月さんってキャンプ行ったことあるの?」
「一度もないわ」
「初めてなのよね」
「アニメでは沢山見たんだけど」
「キャンプのアニメってあるのか?」
「あるわよ」
「結構流行ってるんだから」
「へー、俺も今度見てみるわ」
「今日は怜司君の車で行くんでしょ?」
「おう、そうだよ」
「あの真っ赤なポルシェ?」
「マッサージ器みたいに振動するのよね」
「私、車酔いしそうよ」
「あのポルシェじゃないと思うぜ」
「美月さんの気を引くために買って」
「すぐに手放してたからな」
「え?」
「あれって怜司君の愛車じゃないの?」
「そんなわけねえだろ」
「あんな無駄の塊みたいなものを怜司が好むわけねえの」
「怜司はずっとプリウスだよ」
「合理的じゃねえと駄目なんだよ」
「そうなんだ」
「庶民的だね」
達也が伺うように美月を横目で見た
「美月さん」
「ん?」
「心配はいらなそうだな」
「うん、怜司君とは仲直りしたの」
「許したわけじゃないけどね」
「そっか」
「それとね……達也さん」
「ん?」
「達也さんへの返事……」
「もう少しだけ待ってください」
「おう」
その時
白いハイエースがアパートの前に停まった
背が高く、荷物をたくさん積めそうな大きなワンボックスカーだ
運転席から怜司が降りてきた
「待たせたな」
「おはよう、美月」
「うん、おはよう」
美月は怜司の姿に目を止めた
今日も……黒じゃないんだ
達也が車を見て目を細める
「ハイエース?」
「業務用じゃねえか」
「内装は自家用車用になっている」
「広くて快適だ、荷物も沢山積める」
怜司は車の後部座席の扉のスイッチを押す
自動でスライドして扉が開く
美月が車の中をのぞき込んで声を上げた
「うわ! ひろーい!」
「テレビもついてる!」
「なにこの座席! ふかふか!」
「ソファーみたい!」
「座席は特注だ、倒せば横にもなれる」
「冷蔵庫もある、荷物も邪魔にならない」
「改造した結果4人乗りになったが」
「美月と遊びに行くなら合理的だ」
「すごいね!」
「私の部屋より快適かも!」
「前のポルシェよりずっといいよ」
達也が呆れたように頭をかく
「たしかに、前よりいいな」
美月と達也は荷物を車に積み込む
怜司が運転席に座り
達也は助手席へ
美月は後部座席へ乗り込んだ
「怜司、なんで前の座席は普通のままなんだよ」
「前の座席に座るのは俺達だろう」
「必要ない」
「俺もフカフカがいいんだけど」
「わがままを言うな」
「これで十分だ」
「真帆さんを迎えに行こう」
「どこに行けば良いんだ」
「真帆は三鷹に住んでるの」
「駅の近くならどこでもいいんだって」
「北口の方が都合が良いみたい」
「わかった」
怜司は車を走らせる
美月はリクライニングする座席を倒して嬉しそうに横になった後に
冷蔵庫を開けて中を物色する
「怜司君、冷蔵庫の中の飲み物、飲んでもいい?」
「ああ、好きに飲んでくれ」
「二人にも飲み物取ろうか?」
「なにがいい?」
「俺コーラ、ありがと美月さん」
「お茶を頼む」
美月はコーラとお茶を二人に渡す
それから炭酸水を取り出して飲む
そしてまた座席に寝転んだ
「この車、広くていいわね!」
「アニメ見れたらもう言うことないわ」
「アニメなら観れるぞ」
「そこのテレビは動画サイトと繋げてある」
「好きなものを見てくれ」
「まじで!」
すぐに美月はリモコンを操作してアニメを物色しはじめた
「あ! これ見れてないのよ」
「なんか最近、アニメ見る時間が削られてるのよね」
「容量が一杯で、泣く泣く消してたんだから」
「好きなだけ見てくれ」
「ありがとう! 怜司君」
達也はそんな美月を黙って見つめていた
