お題【鏡】
鏡よ鏡、ひいひいおばあちゃんのそのまたひいおばあちゃんから受け継いだ鏡は、呪文を唱えると知りたいことを教えてくれる。明日の天気もテストの答えだって、これってちょっと未来予知っぽいかも。だけどわたしにはずっと聞きたくて聞けずにいることがあった。それは、同じクラスの美波くんがだれを好きなのかってこと。学年一の美少女って言われてるミヤコちゃん?それともピアノが上手なお嬢様のハルナちゃん?いつも笑顔で優しい保健室の真島先生っていうのもありえるかも。魔法の鏡を持ってるわたしだけど、恋のこととなるととたんに上手くいかなくなる。魔法の鏡のおかげでそれ以外が上手くいきすぎてるっていうのもあるかもだけど、とにかくこの恋で人生初めてのザセツをしそう。そんなに悩むくらいならさっさと鏡に聞いちゃえば?って思うかもしれないけど、好きな人の好きな人を魔法の鏡に聞くのってちょっと卑怯な感じがするし。それってひいひいおばあちゃんのそのまたひいおばあちゃんだってしないようなズルじゃない?継子を毒林檎で手にかけようとするのはまあ、なしよりのあり……ううん、やっぱどう考えてもなしだけど、恋でズルをするのってそれ以上の大罪だと思うの。なにより、わたしに好きな男の子がいるって知った時の鏡の動揺っぷりったらすごかったもの。そんな男はやめときなさいだのなんでも聞いたら答えてくれるナイスガイにしておきなさいだのとにかくうるさかったんだもん。だとしたら私はインターネットの検索バーに恋するしかないわね、なんて言ったらすっかりすねて三日も口を聞いてくれなかったもの。あーあ、女々しい鏡ね。なんてわたしの愚痴も、そろそろ聞き納めだってことわかってる?ほら、この子も早く早くって言ってる。あら、そんなに泣くことないじゃない。娘に鏡を譲ったらあなたの声は聞こえなくなる。所有者が変わるんだから当然だわ。わたしのひいひいおばあちゃんのそのまたひいおばあちゃんの代からずっとそうしてきたのだから、あなたもわかっていたでしょ?そのたびにこうしてわんわん泣いてきただなんて、あなた何百年も前からずっと涙脆いのね。私と美波くんとの結婚式のときも、この子が生まれたときもそうだったけど、ずっとずっとわたしのことを見守ってきてくれてたんだもんね。その調子で、この子のことも頼むわね。やんちゃでわがままなところもあるけど、きっとすてきなレディーにしてね。そう、わたしみたいにね。わかってるじゃない。さすがわたしの……ううん、これからはこの子とわたしの大切な鏡だわ。
鏡よ鏡、ひいひいおばあちゃんのそのまたひいおばあちゃんから受け継いだ鏡は、呪文を唱えると知りたいことを教えてくれる。明日の天気もテストの答えだって、これってちょっと未来予知っぽいかも。だけどわたしにはずっと聞きたくて聞けずにいることがあった。それは、同じクラスの美波くんがだれを好きなのかってこと。学年一の美少女って言われてるミヤコちゃん?それともピアノが上手なお嬢様のハルナちゃん?いつも笑顔で優しい保健室の真島先生っていうのもありえるかも。魔法の鏡を持ってるわたしだけど、恋のこととなるととたんに上手くいかなくなる。魔法の鏡のおかげでそれ以外が上手くいきすぎてるっていうのもあるかもだけど、とにかくこの恋で人生初めてのザセツをしそう。そんなに悩むくらいならさっさと鏡に聞いちゃえば?って思うかもしれないけど、好きな人の好きな人を魔法の鏡に聞くのってちょっと卑怯な感じがするし。それってひいひいおばあちゃんのそのまたひいおばあちゃんだってしないようなズルじゃない?継子を毒林檎で手にかけようとするのはまあ、なしよりのあり……ううん、やっぱどう考えてもなしだけど、恋でズルをするのってそれ以上の大罪だと思うの。なにより、わたしに好きな男の子がいるって知った時の鏡の動揺っぷりったらすごかったもの。そんな男はやめときなさいだのなんでも聞いたら答えてくれるナイスガイにしておきなさいだのとにかくうるさかったんだもん。だとしたら私はインターネットの検索バーに恋するしかないわね、なんて言ったらすっかりすねて三日も口を聞いてくれなかったもの。あーあ、女々しい鏡ね。なんてわたしの愚痴も、そろそろ聞き納めだってことわかってる?ほら、この子も早く早くって言ってる。あら、そんなに泣くことないじゃない。娘に鏡を譲ったらあなたの声は聞こえなくなる。所有者が変わるんだから当然だわ。わたしのひいひいおばあちゃんのそのまたひいおばあちゃんの代からずっとそうしてきたのだから、あなたもわかっていたでしょ?そのたびにこうしてわんわん泣いてきただなんて、あなた何百年も前からずっと涙脆いのね。私と美波くんとの結婚式のときも、この子が生まれたときもそうだったけど、ずっとずっとわたしのことを見守ってきてくれてたんだもんね。その調子で、この子のことも頼むわね。やんちゃでわがままなところもあるけど、きっとすてきなレディーにしてね。そう、わたしみたいにね。わかってるじゃない。さすがわたしの……ううん、これからはこの子とわたしの大切な鏡だわ。


