人形少女と二人ぼっち

私は、また、花帆の作った朝ごはんを見つめていた

「ましろ、無理に食べなくていいよ。お昼ご飯に、わたし食べるから」

そう言って、いのりは、私の朝ごはんにラップをかけた。花帆と自分が食べた食器を下げ、キッチンへ行って、皿を洗い出した

「ましろって、何も食べなくても平気なんだよね。じゃあさ、香りは感じるの?」

分からない…

いや、感じるのかもしれない。アンティークショップの店主は、時々、私の球体関節を外して、そこに薔薇の香りのするオイルを挿してくれた。あれは、心地よかった気がする

「じゃあさ、紅茶いれるよ。どこだっけな。花帆姉、なんかいい香りのする紅茶買ってたんだよな」

いのりは、がさごそとキッチンの棚を探した

「あった! これだ」

紺色の金属の缶を取り出し、お湯を沸かして、紅茶を入れてくれた

「はい、一緒に飲も」

いのりは、2人分の紅茶をテーブルに置いた

湯気の立つティーカップから、少し香ばしい花のような香りがした