人形少女と二人ぼっち

「じゃあ、気が変わったらいつでも言ってね。すぐお揃いのドレス買ってくるから」

「うーん、分かったよ」

いのりは、助けを求めるような目で私を見ていた。私にも、どうすることもできない

「それじゃあ、夕ご飯にしましょう。今日は、ハンバーグにしたの」

「ほんと? やったぁ!」

「いのり、お皿出すの手伝って」

「はーい」

テーブルの上には、夕食の皿が並べられていった。ハンバーグに、ポテトやブロッコリーを付け合わせたお皿。湯気の立つスープ。それに、お茶碗に盛られた、まっしろなご飯。3人分

「ましろ、お腹すいたでしょ? 頑張って作ったんだからね。さあ、食べて」

いや、お腹は空かない。人形だから
私は、動かなかった

「どうしたの? 食欲ないの?」

食欲? そんなものは人形にはない
私の口の中にも、歯や舌を模したものはある
だけど、その先は?
もし飲み込んだら、食べ物はどうなるの?
身体の中に入ったら、朽ちていくだけなような気がした