天使とケサランパサランの靴屋

 そうして、あの輝かしい過去から切ない現実である今にいたるまで、彼女はずっとこの工房で、コーリャと共に暮らし続けてきたのでした。

 ――そんな過去を知る『そばかすの天使』は、老人になり、希望を失ってしまった姿を寂しく感じていました。

 静寂の中、老いたコーリャはサーシャへ贈る作りかけの靴を見つめます。

 一度深く目を閉じると、「よし」と覚悟を決めたようにうなずき、再び道具を手に取りました。

 そばかすの天使は、今のコーリャに、どうか昔の気持ちを思い出してほしいと願います。

 彼女が視線を向けた先は、棚の特等席に置かれた、あのオルゴールでした。

 かつて二人の支えだったそれは、今や鳴らされることもなくなり、静かに埃をかぶっています。

 コーリャが新しい靴作りに夢中になる傍らで、そばかすの天使は棚の上のオルゴールへと近づき、その小さなゼンマイをそっと回してみました。

 けれど、やはりオルゴールは長年の眠りから目覚めることなく、「ジッジッ……」と、かすかにぎこちない音を立てるだけ。

 そばかすの天使は不満げに腕を腰に当て、(やっぱり、もう動かないのかな)と、ため息混じりに口元を少し歪めました。