天使とケサランパサランの靴屋

 天使は嬉しくてたまらなくなり、二人の歌う調べに合わせて、その場でくるくると調子よく踊り始めます。

(ケサラン、パサラン。ケサラン、パサラン……)

 両手をいっぱいに広げ、天を仰ぎながら、全身で彼らの生み出した希望の温もりを感じるように、彼女は舞い踊ります。

 けれど、ふと踊りを止めた目線の先――遠くの街の方角には、変わらず冷たくくすんだ灰色の世界が広がり、不気味な黒い煙の雲が流れていました。

 昨晩、その場所で浴びた人間の恐ろしい憎しみや、あの凄まじい爆風の恐怖が不意によみがえり、天使は怯えたように後ずさりします。

 彼女は自分の小さな手を、ぎゅっと胸元で固く握りしめました。
 外の世界は、まだあんなに恐ろしい化け物で満ちている……。

 しかし、怯えながら後ろを振り返ったとき、彼女の瞳に飛び込んできたのは、あまりにもまばゆい光景でした。

 どんよりと空を覆う暗雲の隙間から、まるで神様が指を差し向けたかのように、一生懸命に働く若い二人を目がけて、一点の美しい光がまっすぐに差し込んでいました。

 そこだけが、まるで金色に輝く特別な世界です。
 その温かさに導かれるように、天使は二人のもとへ夢中で駆け戻りました。

 この場所から離れることなんて、もうできません。

 ――飛べないんじゃない。私は……飛んでいかないんだ。

 彼女は二人のすぐそばにそっと寄り添いました。