愛故に





幸せな気分にいつまでも浸っていたかったけれど、時間は刻一刻と迫っていた。
___やば、そろそろ準備しなきゃ。



『じゃあ、大学で。』


「うん。またあとでね。」


『美月ちゃん気をつけてね』


「ふふっ、ありがとう。彗斗くんもね。」



通話が切れたスマートフォンを胸元に抱えたまま、しばらく動けなかった。



「……彗斗くん、可愛いって……ずるいよ。」



思い出しただけで顔が熱くなる。



鏡に映っているのは寝癖のついた髪、眠そうな顔。



「こんなの、可愛いわけないじゃん……。」



そう呟きながらも、口元は笑っていた。