君と紡ぐ夜明けの花

「お姉ちゃん」
ふいに、花音が私の方を向いた。
「ん?」
「今日、一緒に学校行かない?」
その言葉に、私は少しだけ驚いた。
花音から私に声をかけてくることなんて、珍しかったから。
「……うん。いいよ」
そう答えると、花音は嬉しそうに笑った。
「やった!」
その笑顔を見ていると、胸の奥が少しだけ温かくなる。
花音は悪くない。
私に冷たいのは、花音じゃない。
「花音、今日はお母さんが送っていくわよ」
母の声が聞こえた。
「えー、お姉ちゃんと行きたい!」
「今日はダメ。ほら、準備して」
「……うん」
花音は少し残念そうにしながら、母のところへ向かっていく。
その途中で、花音が振り返った。
「お姉ちゃん、また学校でね!」
「うん。またね」
私は笑って手を振った。
二人が家を出ていくのを見届けてから、私も鞄を手に取った。
「……行ってきます」
誰もいない玄関に、小さく声を落とす。
返事はない。
いつものことだ。
私は一人で玄関のドアを開けた。
朝の冷たい空気が頬に触れる。
家を出た瞬間、少しだけ息がしやすくなった気がした。