「……リリア?」
男は、落ちた手を見つめていた。
何が起きたのか、理解できない。
「……嘘だろ」
腕の中の女は、もう動かない。
「なぁ……起きてくれよ」
返事はない。
男は震える手で、女の頬に触れた。
「……さっきまで、笑ってただろ」
声が、崩れていく。
「幸せだったって……言っただろ」
その時――
兵士の一人が、ゆっくりと近づいてきた。
「殿下、公主を母国へお連れします」
男が顔を上げる。
「……嫌だ」
「我々は命令を受けています」
「嫌だ……」
男は女を抱きしめた。
「また……俺から奪うのか?」
兵士が一歩、近づく。
「何度奪えば気が済むんだ……」
「殿下――」
兵士が女へ手を伸ばす。
その瞬間。
男の目から、涙が一筋落ちた。
「触るな」
低い声だった。
兵士が止まる。
「……その人に、触るな」
男はゆっくりと立ち上がった。
剣を握る。
「この人は……誰にも渡さない」
「殿下、おやめください!」
男は答えなかった。
もう、声は届いていなかった。
ただ一つ。
腕の中の女を奪われたくない。
その思いだけが、男を動かしていた。
男は、落ちた手を見つめていた。
何が起きたのか、理解できない。
「……嘘だろ」
腕の中の女は、もう動かない。
「なぁ……起きてくれよ」
返事はない。
男は震える手で、女の頬に触れた。
「……さっきまで、笑ってただろ」
声が、崩れていく。
「幸せだったって……言っただろ」
その時――
兵士の一人が、ゆっくりと近づいてきた。
「殿下、公主を母国へお連れします」
男が顔を上げる。
「……嫌だ」
「我々は命令を受けています」
「嫌だ……」
男は女を抱きしめた。
「また……俺から奪うのか?」
兵士が一歩、近づく。
「何度奪えば気が済むんだ……」
「殿下――」
兵士が女へ手を伸ばす。
その瞬間。
男の目から、涙が一筋落ちた。
「触るな」
低い声だった。
兵士が止まる。
「……その人に、触るな」
男はゆっくりと立ち上がった。
剣を握る。
「この人は……誰にも渡さない」
「殿下、おやめください!」
男は答えなかった。
もう、声は届いていなかった。
ただ一つ。
腕の中の女を奪われたくない。
その思いだけが、男を動かしていた。
