私のイケメンヒーローは、どこかおかしい

マ国とリュミエラ国の国境には、次々と兵が集められていた。

誰もが戦争が始まることを恐れていた。

それでも、一度動き始めた軍を止めることはできなかった。

両国の間に広がった怒りは、すでに二人の問題だけではなくなっていた。

そして――。

玄都国にも、不穏な動きが現れ始めた。

「皇帝陛下。宮殿の周辺で、不審な者が確認されています」

「……二人を狙っているのか」

「おそらく」

ルーファンスとリリアの命を狙う者が現れ始めた。

理由は一つ。

「二人が消えれば、戦争が終わる」

そう信じる者たちがいた。

マ国にも。

リュミエラ国にも。

そして、玄都国にも。

二人の存在そのものを消してしまえば、両国の争いが収まる。

そんな考えが広がっていた。

ルーファンスは、その話を聞いても動揺を見せなかった。

けれど――。

「……俺たちが一緒にいるせいで、誰かが傷ついている」

その言葉だけは、何度も口にした。

リリアは何も言わず、ルーファンスの手を握った。

「あなたのせいじゃない」

「でも……」

「私があなたを選んだの」

リリアは、まっすぐに彼を見つめた。

「だから、私だけを残していこうとしないで」

ルーファンスは、しばらく黙っていた。

自分さえいなくなれば。

自分とリリアが離れれば。

戦争が止まるかもしれない。

そう考えたことがないわけではなかった。

けれど――。

「……それでも、君と別れることだけはできない」

ルーファンスは、リリアの手を強く握った。

「君を一人にするくらいなら、俺は最後まで君の隣にいる」

リリアの目に涙が浮かぶ。

「私も」

二人は互いの手を離さなかった。

外では、戦争の足音が近づいている。

そして、二人の命を狙う者たちも、少しずつその距離を縮めていた。

それでも二人は――。

もう、互いを手放すことだけは選ばなかった。