私のイケメンヒーローは、どこかおかしい

二人だけの結婚式を終えてから、穏やかな日々が始まった。

朝。

リリアが目を覚ますと、すぐ隣にルーファンスがいる。

それだけのことが、嬉しかった。

「おはよう、リリア」

「おはようございます、ルーファンス」

そんな何気ない挨拶を交わす。

これまでなら、夢のような光景だった。

二人は身分を隠し、玄都国で一組の夫婦として暮らしていた。

朝食の席では、その日の予定を話したり、くだらないことで笑ったりする。

「今日の昼は、庭で食べない?」

「いいですね」

食事を終えれば、一緒に庭を歩く。

特別なことをするわけではない。

ただ隣を歩きながら、その日にあったことを話す。

それだけで、二人には十分だった。

夜になれば、同じ部屋で眠る。

身体を重ねることはなかった。

ただ、同じ場所で眠り、朝になれば隣にいる。

それだけで幸せだった。

「こういう毎日が、ずっと続けばいいのに」

リリアがそう呟くと、ルーファンスは彼女の手を握った。

「続けよう」

「……本当に?」

「ああ。ずっと一緒にいる」

二人は笑った。

ようやく手に入れた。

誰かに決められた婚姻ではなく、自分たちが選んだ相手と過ごす毎日。

ただ一緒に食事をして。

ただ一緒に話をして。

ただ隣で眠る。

そんな、ごく普通の夫婦の暮らし。

二人にとっては、それこそが何よりも大切な幸せだった。