私のイケメンヒーローは、どこかおかしい

男は、迫りくる兵士たちを必死に退けていた。

けれど――

多勢に無勢だった。

一人を倒した瞬間、別の兵士が背後から剣を振り上げる。

男は気づいていなかった。

「危ない!」

女が叫ぶ。

次の瞬間――

女が男の背中へ飛び込んだ。

「……っ」

刃が、女の身体を貫いた。

男の動きが止まる。

「……え?」

女の身体が、ゆっくりと崩れ落ちる。

「リリア……?」

男は慌てて抱き止めた。

腕の中で、女が小さく笑う。

「……守れて、よかった」

「何言ってるんだ……」

男の声が震える。

女は苦しそうに息をしながら、それでも笑っていた。

「短い間だったけど……」

震える手を、男へ伸ばす。

「夫婦になれて……幸せだったよ」

「やめろ……」

男はその手を掴もうとする。

「まだ……」

女の指先が、男の頬へ近づく。

「……あなたと……」

けれど、その手は届かなかった。

男の目の前で――

女の手が、静かに落ちた。