私のイケメンヒーローは、どこかおかしい

玄都国に到着したリリアは、懐かしい街並みを見つめていた。

ここへ来るのは、あの日以来だった。

ルーファンスと初めて出会った場所。

二人で言葉を交わした庭園。

「……ここにいるのかな」

胸の奥が、落ち着かない。

けれど、会わなければならない。

リリアは、かつて二人が出会った庭園へ向かった。

静かな庭園に足を踏み入れる。

あの日と同じように、花が咲いていた。

リリアはゆっくりと歩きながら、周囲を見渡した。

その時――。

「……リリア?」

聞き覚えのある声がした。

リリアの足が止まる。

ゆっくりと振り返る。

そこにいたのは――。

ルーファンスだった。

「……ルーファンス」

互いの名前を呼んだ瞬間、二人とも動けなくなった。

会いたかった。

ずっと、会いたかった。

けれど、いざ目の前にすると、言葉が出てこない。

ルーファンスも、ただリリアを見つめていた。

あの日と同じ庭園。

けれど、二人の立場はもう違っている。

それでも――。

目の前にいる彼女を見た瞬間、胸の奥に押し込めていた想いが、一気に溢れそうになった。

「……どうして、ここに?」

ルーファンスが、ようやく尋ねた。

リリアは答えようとした。

けれど、声にならない。

代わりに、目から涙がこぼれた。

「……私……」

ルーファンスは、何も言わずに彼女を見つめる。

リリアは涙を拭い、震える声で言った。

「あなたに……会いたかった」

その言葉に、ルーファンスの目が揺れた。

二人はただ、互いを見つめていた。

離れていた時間など、最初から存在しなかったかのように。

もう一度、二人は同じ場所で出会った。