私のイケメンヒーローは、どこかおかしい

翌朝。

リリアは、玄都国へ向かう準備を始めた。

誰にも詳しい理由を告げることはできなかった。

ただ、自分の心に従うために。

もう一度、あの人に会うために。

一方、その頃。

ルーファンスもまた、玄都国へ向かう旅の途中にいた。

二人はまだ知らない。

同じ場所を目指していることを。

同じ人を想いながら、それぞれの道を進んでいることを。

リリアは馬車の窓から外を眺めていた。

玄都国へ近づくほど、胸の鼓動が速くなる。

本当に会えるだろうか。

もう一度、彼と話せるだろうか。

拒まれたらどうしよう。

そんな不安もあった。

けれど、それ以上に強い気持ちがあった。

会いたい。

今度こそ、自分の言葉で伝えたい。

「ルーファンス……」

小さく名前を呼ぶ。

その声は、誰にも届かなかった。

同じ頃。

ルーファンスもまた、馬車の中で玄都国への道を進んでいた。

窓の外を眺めながら、リリアのことを考えている。

会えたら、何を話そう。

自分の気持ちを伝えるべきなのか。

それとも、ただ元気な姿を見られれば、それでいいのか。

答えは出なかった。

それでも、足を止めるつもりはなかった。

二人の距離は、少しずつ縮まっていく。

そして――。

二人が向かう先には、かつて初めて出会った玄都国が待っていた。