「その人以外とは、結婚したくありません」
ルーファンスは、父である皇帝にそう告げた。
皇帝の表情が険しくなる。
「相手は誰だ?」
「……言えません」
「なぜだ」
「俺自身の問題です。相手の名前を出すつもりはありません」
皇帝は、しばらく息子を見つめていた。
せっかく両国の関係を立て直すために、別の婚約者まで用意した。
それなのに、今度は別の女性を愛していると言う。
「お前は、自分の立場が分かっているのか?」
「分かっています」
「ならば、相手の名を明かせ」
「それは……できません」
ルーファンスは、それ以上何も語らなかった。
一方、リュミエラ国でも同じ頃。
リリアは父である皇帝に、自分の意思をはっきりと伝えていた。
「その方以外とは、結婚したくありません」
皇帝の表情が変わる。
「ならば、その相手を教えなさい」
「……申し訳ありません。名前は言えません」
「なぜだ?」
リリアは、静かに首を横に振った。
ルーファンスの名前を口にすることはできなかった。
玄都国で出会ったことも。
彼が自分の政略結婚の相手だったことも。
そして、自分が彼を愛してしまったことも。
今はまだ、誰にも知られたくなかった。
「私の気持ちは、私自身のものです」
静かな声だった。
けれど、その意思は揺らがなかった。
両国の皇帝は、ついに怒りを露わにした。
「一体、誰なのだ!」
「その者が誰なのかも分からぬまま、婚約者を拒むつもりか!」
それでも――。
ルーファンスもリリアも、相手の名前だけは明かさなかった。
二人にとって、その人の名前を守ることだけは、譲れなかった。
ルーファンスは、父である皇帝にそう告げた。
皇帝の表情が険しくなる。
「相手は誰だ?」
「……言えません」
「なぜだ」
「俺自身の問題です。相手の名前を出すつもりはありません」
皇帝は、しばらく息子を見つめていた。
せっかく両国の関係を立て直すために、別の婚約者まで用意した。
それなのに、今度は別の女性を愛していると言う。
「お前は、自分の立場が分かっているのか?」
「分かっています」
「ならば、相手の名を明かせ」
「それは……できません」
ルーファンスは、それ以上何も語らなかった。
一方、リュミエラ国でも同じ頃。
リリアは父である皇帝に、自分の意思をはっきりと伝えていた。
「その方以外とは、結婚したくありません」
皇帝の表情が変わる。
「ならば、その相手を教えなさい」
「……申し訳ありません。名前は言えません」
「なぜだ?」
リリアは、静かに首を横に振った。
ルーファンスの名前を口にすることはできなかった。
玄都国で出会ったことも。
彼が自分の政略結婚の相手だったことも。
そして、自分が彼を愛してしまったことも。
今はまだ、誰にも知られたくなかった。
「私の気持ちは、私自身のものです」
静かな声だった。
けれど、その意思は揺らがなかった。
両国の皇帝は、ついに怒りを露わにした。
「一体、誰なのだ!」
「その者が誰なのかも分からぬまま、婚約者を拒むつもりか!」
それでも――。
ルーファンスもリリアも、相手の名前だけは明かさなかった。
二人にとって、その人の名前を守ることだけは、譲れなかった。
