それからしばらくして。
ルーファンスは、マ国の使節団の一員として玄都国を訪れていた。
一方のリリアもまた、リュミエラ国の一行とともに玄都国を訪れていた。
両国と長く交流のある玄都国では、各国の皇族や貴族が訪れることも珍しくなかった。
その日、ルーファンスは護衛を伴いながら、玄都国の庭園を歩いていた。
慣れない場所を歩くうち、少し人の少ない場所へと足を向ける。
すると――。
「……綺麗」
不意に、声が聞こえた。
振り返ると、そこには一人の少女がいた。
庭園に咲く花を眺めながら、静かに微笑んでいる。
ルーファンスは、なぜかその姿から目を離せなかった。
少女も彼の気配に気づき、こちらを振り返る。
目が合った。
ほんの一瞬。
ただ、それだけだった。
「……失礼しました」
先に視線を逸らしたのは少女だった。
「いや……」
ルーファンスも、なぜか少しだけ言葉に詰まった。
普段なら、こんなことはない。
初対面の相手と話すことにも慣れている。
それなのに、目の前の少女には妙に緊張してしまう。
「この花がお好きなんですか?」
ルーファンスが尋ねると、少女は小さく頷いた。
「はい。とても綺麗なので」
「俺も好きです」
自然にそう答えてから、ルーファンス自身が少し驚いた。
なぜ、こんなことを口にしたのだろう。
けれど少女は、嬉しそうに笑った。
「本当ですか?」
その笑顔を見た瞬間。
ルーファンスは、もう一度この少女に会いたいと思った。
まだ名前も知らない。
どこの誰なのかも知らない。
ただ――。
もう少し、この人と話していたい。
そんな気持ちだけが、不思議なほど強く胸に残った。
ルーファンスは、マ国の使節団の一員として玄都国を訪れていた。
一方のリリアもまた、リュミエラ国の一行とともに玄都国を訪れていた。
両国と長く交流のある玄都国では、各国の皇族や貴族が訪れることも珍しくなかった。
その日、ルーファンスは護衛を伴いながら、玄都国の庭園を歩いていた。
慣れない場所を歩くうち、少し人の少ない場所へと足を向ける。
すると――。
「……綺麗」
不意に、声が聞こえた。
振り返ると、そこには一人の少女がいた。
庭園に咲く花を眺めながら、静かに微笑んでいる。
ルーファンスは、なぜかその姿から目を離せなかった。
少女も彼の気配に気づき、こちらを振り返る。
目が合った。
ほんの一瞬。
ただ、それだけだった。
「……失礼しました」
先に視線を逸らしたのは少女だった。
「いや……」
ルーファンスも、なぜか少しだけ言葉に詰まった。
普段なら、こんなことはない。
初対面の相手と話すことにも慣れている。
それなのに、目の前の少女には妙に緊張してしまう。
「この花がお好きなんですか?」
ルーファンスが尋ねると、少女は小さく頷いた。
「はい。とても綺麗なので」
「俺も好きです」
自然にそう答えてから、ルーファンス自身が少し驚いた。
なぜ、こんなことを口にしたのだろう。
けれど少女は、嬉しそうに笑った。
「本当ですか?」
その笑顔を見た瞬間。
ルーファンスは、もう一度この少女に会いたいと思った。
まだ名前も知らない。
どこの誰なのかも知らない。
ただ――。
もう少し、この人と話していたい。
そんな気持ちだけが、不思議なほど強く胸に残った。
