恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



魔術以外ポンコツなユリウスは、当然人の感情を理解しようとする機能が壊滅的に弱い。

中身はコレで、行動も赤ちゃんだが、黙っていれば外見だけはそこそこよろしいので、今までも何人もの相手から好意を寄せられてきてはいた。

しかし、他人に興味が持てない上に、人に関わることは非効率的かつ時間の無駄だと相手の好意を受け入れる前の段階で拒否反応を見せるので、恋など繊細な感情がわかるはずないのだ。


「...それは、困りましたね」


しかし、イザベラも今まで誰かに好意を持ったことがないので、人のことをとやかく言える立場ではなかった。

今回の依頼、思ったよりユリウスと相性が悪そうだなと少しだけ頭を悩ませると、イザベラは思い出したかのようにひらめく。


「王太子殿下に、直接聞いてみればいいじゃないですか?」

「何を?」

「恋とはいったい、どんな感じなのかと」


心底嫌そうな顔を向けられたが、ユリウスのためを思ってのことなので引くつもりはない。


「政略結婚が嫌で、惚れ薬を所望したということは殿下は今、好いている女性がいる可能性が非常に高いです。殿下の依頼なんですから、惚れ薬を作るために必要だと言えば、無下に断られることはないでしょう」


言い訳する隙を与えまいと、距離を詰めながら一気に言葉にする。

ユリウスはイザベラの顔を一瞥すると、不服そうに顔を背ける。