恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「...とりあえず、お前の助手から話を聞いたが、胸のあたりが痛い、ということだったな」


目の前に患者がいるということで、渋々と診察を始めるマルコーに、ユリウスは不満そうに唇を尖らせる。


「そうだが、貴様の世話になるつもりはない」

「うるせぇな、聞かれたことだけ答えてろ。一応、検査をしてやるから、隣の部屋で準備してろ」

「必要ない」

「必要かどうか決めるのはてめぇじゃねぇんだよ。おい、こいつを連れてけ」


マルコーが合図をすると、隣にいた看護婦がユリウスの椅子の背もたれを押し、部屋の外まで連れて行こうとする。


「おい、やめろ!!触るな!!」

「はい、フローベルさん。暴れないでくださいねー」


必死に抵抗しようとするユリウスだったが、業務で患者が暴れることに慣れているのか、看護婦は笑顔であしらっていた。



「脈拍、体温、心音、全て異常なしだな」


全ての検査結果を読み上げたマルコーは訝しげな視線をユリウスに向ける。


「逆に栄養不足による体重減少、睡眠不足による疲労が見られる。この状態でよく倒れないなお前」

「貴様には関係ない」


勝手に検査をさせられて、虫の居所が悪いのかユリウスの声がだいぶ刺々しく感じた。