恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



放置しても面倒くさいので、なんとか医務棟に連れて行きたいイザベラは策を考える。

普通に説得しても一緒に来てなんてくれないし、どこかしら掴んで引っ張って行くにも、避けられて触ることもできない。

そこである方法が頭に浮かぶも、あまりにも非現実すぎる。

しかし、試す価値はあるかもしれない。

そう意気込んだイザベラはユリウスへにじり寄る。

イザベラに対しての警戒態勢を崩さないユリウスは車輪付きの椅子を器用に動かして、横に移動する。

逃がすものかとイザベラはその後を追う。

くるりと部屋の中を一周し、イザベラが意図的に扉まで追い詰めると、ユリウスは車輪を動かし、椅子に座ったまま部屋の外に出た。

よしっ、かかった!

イザベラが近付くと、同じ極同士の磁石みたいにユリウスが離れていく。

まさか成功するとは思わなかったが、ユリウスはイザベラから逃げることに必死で自分が外に連れ出されていることに気付いていない。

このまま医務棟までなんとか連れて行こうと、イザベラは車輪付きの椅子で廊下を全力疾走するユリウスを追いかけるのであった。