恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



不調を口に出すということは、少なくともユリウスはそれを改善したいのだと思われる。

しかし、イザベラは医者ではないので症状を聞かされても何が原因なのかわかるわけない。

よし、医務棟に連れて行こう。


「マルコー先生に診てもらいましょう」


至極真っ当な判断だと提案するも、ユリウスは不服そうに眉をひそめる。


「あの男が出てくるまでもない」

「じゃあ、なんで胸が痛いんですか?」

「......」


途端にユリウスがイザベラから視線を逸らし、口を噤む。


「ほら、やっぱりわかんないじゃないですか!!わがまま言わずに行きますよ!!」


椅子から立ち上がらせようと腕を掴もうとすると、イザベラから逃げるように椅子の車輪を動かし、後ろに避ける。


「触るな」

「じゃあ、一緒に行ってくれますか?」

「断る」