恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



つ、疲れた...。

テオドールがようやく帰り、やっと肩の力が抜けたイザベラは背中の枕に体を埋める。

王太子殿下と面と向かうだけでも緊張するのに、わけのわからんことを言われ続けたおかげで余計に疲れ果ててしまった。

もうこのまま眠ってしまおうと、イザベラが瞼を閉じかけると、病室の扉が開いた。


「ったく、話が長いんだよ。あいつは...」


白衣のポケットに手を突っ込ませ、ぶつぶつと唇を尖らせたマルコーがベッドまで近付いてくる。

毛布から顔だけ覗かせているイザベラを一瞥したマルコーはパイプ椅子に座り、バインダー上のカルテを捲った。


「とりあえず、今晩はここで寝てろ。食事を持ってこさせるから吐いてでも食え。その後は栄養剤を投与する予定だ。調子がよかったら明日にでも復帰できる」

「あ、ありがとうございます...」


弱々しく返事をすると、マルコーが顔を上げる。


「...なんか、だいぶ憔悴しきってるな。王太子になんか言われたか?」