恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



お金の話になるとこんな時でも安堵してしまう自分が嫌になるイザベラだったが、これで来月の家賃が払えると心の底からの笑みが自然と溢れた。


「あ、ありがとうございます...」

「礼を言う必要はない。むしろ、もっとわたしを罵ってくれてもかまわない」

「いえ、さすがにそれは無理です」


そんな度胸、イザベラには持ち合わせていない。


「フローベルは容赦なく怒鳴りつけに来たのだが...」


ユリウスならやりかねないとイザベラは恐ろしさで肝を冷やす。


「せんせ...、ユリウス先生が王太子殿下の元に赴いたんですか?」


そこでようやく顔を上げたテオドールがイザベラの質問に頷いた。


「あぁ、ものすごい剣幕で怒鳴りつけに来て、ありとあらゆる暴言で罵倒されたな。そこで君が倒れたことも責められたな」


何ということだ。

自分が倒れたことによって王太子殿下にも迷惑をかけていたなんて、本当に申し訳ない。

更にユリウスが激怒していたということは、イザベラの不在が相当迷惑なことだったと想像できる。