恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



「それでね、ケビン君がね、ヨハンナの好きなお花をね、くれたんだよ」

「へー、そうなんだ。よかったね、ヨハンナちゃん」


野原の花畑で花を摘みながら、イザベラは無邪気なヨハンナの言葉に耳を傾ける。

ヨハンナは、イザベラの近所に住む女の子で、最近ボーイフレンドが出来て父親が嘆いていると、彼女の母親から聞いていた。

その話を思い出したイザベラはこうしてヨハンナに恋について話を聞いているというのに、背後にいるユリウスからの不穏な圧で集中できない。


「それじゃあヨハンナちゃんは、お花をくれたからケビン君のこと、好きになったんだね」

「うん、そうだよ!!」


曇りなき笑顔を向けられ、荒んだ心が浄化されていく。

イザベラはそのまま摘んでいた野花を、後ろでふてくされているユリウスの前へと差し出す。

突然、目の前に花が現れて驚いたのか、ユリウスは花とイザベラを交互に見る。


「...何のつもりだ」

「...わたしのこと、好きになりましたか?」

「馬鹿にしているのか?」


人を射殺すかのような視線を向けられる。