恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



そんな二人のやり取りを見て、テオドールは苦笑いを浮かべた。


「気を遣わせてしまって、申し訳ない。今は王太子ではなく、君の見舞いに来た客として扱っていただきたい」


イザベラは戸惑いながら首を小さく縦に振った。

テオドールはベッドの傍らに置いてあるパイプ椅子にゆっくりと座る。


「マルコー、すまないが、彼女と二人きりで話させてくれないか」


後ろに控えているマルコーにテオドールがそう告げると、マルコーは渋々頷いた。


「暫くの間、人払いも頼む。誰も部屋に入れないでほしい。特にフローベルには注意してくれ」

「どの、フローベルだ?うちには厄介なフローベルがたくさんいるからな」


意表を突かれたのか、テオドールは目を瞬かせると、すぐにそうだなと可笑しそうに笑う。


「全てのフローベルだ。よろしく頼む」

「はいはい、わかりましたよ」


一応、テオドールに一礼を入れた後、マルコーは部屋から出て行った。

王太子殿下と二人きりになり、少し気まずさを感じたイザベラは視線を泳がせながら、布団の中で両手を組んだ。

そんなイザベラの心配をよそに、テオドールは目を伏せ、静かに頭を下げた。