恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



先生、今頃大丈夫かな...。

病室からマルコーが出て行き、覚悟が必要な見舞い客が来るまでイザベラは一人、窓から見える中庭の桜の木を眺めていた。

暫くすると、部屋の扉がノックされ、マルコーが再び部屋に入ってくる。


「早く入ってこい」

「無理を言って、すまないな。マルコー」


そして、マルコーの後ろから現れた男性の姿を見て、イザベラは目を見開く。


「テオドール王太子殿下...」


不機嫌そうに腕を組むマルコーとは対照的に、柔らかな笑みを浮かべる茶髪の男性がそこに立っていた。

まさか王太子殿下が現れるとは思っていなかったので、一瞬呆然とする。

しかし、すぐに正気に戻ったイザベラは慌ててお辞儀をしようとベッドから立ち上がろうとすると、マルコーに凄まれる。


「動くな!!!次、ベッドから出ようとしたら縛り付けるぞ!!!」


この医者なら本気でやりかねないと、イザベラは戦々恐々と元の場所へと戻る。