恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで



懺悔するようにイザベラが呟くと、マルコーは面倒くさそうに頭を掻いた。


「あれは、迷惑してたというより......まぁ、いい。お前はそっちのほうも重症だったな」

「はい?」

「いや、なんでもない。こっちの話だ。忘れろ」


意味ありげな言葉にイザベラが眉を寄せると、扉がノックされた。

先ほどの看護婦が部屋に入ってきて、マルコーに耳打ちする。

内容を聞くやいなや、マルコーは苛立たしげに舌打ちをする。


「今すぐ、人払いをしろ」

「承知しました」


看護婦はマルコーに一礼すると、慌ただしく部屋から出て行った。

何だか忙しないなと目の前で繰り広げられる光景をぼんやりと眺めていると、気怠そうに頭を掻きむしるマルコーと目が合った。


「お前に、客が来る」

「...どなたですか?」

「来たら、わかる。...ただ、覚悟はしておけ」


覚悟しておかなければならない見舞い客とはいったいどういう人なのだろうと、イザベラは瞬きを繰り返した。