王太子殿下の依頼で惚れ薬を作製しなければならないのだが、順調に進まず、研究費を凍結されてしまい、給料が払われず、家賃を捻出するために食費を削っていました。
なんて、口が裂けても言えないので、イザベラは目を伏せ、口を噤む。
そんなイザベラの様子を見たマルコーはわざとらしく大きくため息を吐く。
「そんな困り果てた表情をするな。俺が病人を虐めてると噂される」
「...すいません...」
「大方、あのフローベルが無理難題を押し付けたのだろう。苦労してるな、お前も」
マルコーの口からユリウスの名前が出て、イザベラは思い出したかのように顔を上げる。
「先生...。先生はどうしてますか?」
「あ゛?お前の目の前にいるだろうが」
「いえ、マルコー先生ではなく、ユリウス・フローベル先生の方です」
倒れてからどのくらいの時間が経っているのだろうか。
数時間だったら問題ないだろうが、もし数日経っていたら、研究室から干からびたユリウスが出てきてしまうかもしれない。

