恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで




「ここはどこだ」


翌日。外に出るのを嫌がるユリウスをなんとか研究室から引っ張り出し、イザベラは目的地の前で足を止めた。

子供たちの賑やかな声が門の向こうから聞こえてくる。


「どこって、幼稚園ですよ。ほら、突っ立ってないで、歩いてください」


二人の存在に気付いた子供たちが正装姿の長身男性が珍しいのか、門越しからユリウスを興味津々な眼差しで観察している。

子供たちの視線がどんどん集まり始め、イザベラは嫌な予感を覚える。

このままでは不審者扱いされかねない。 慌ててユリウスの腕を掴み、その場を後にした。

幼稚園の裏の野花が一面に咲く野原があり、そこに女の子が一人、花畑の中で戯れている。


「ヨハンナちゃーん、お待たせー」


呼ばれる声で振り向いた少女、ヨハンナは、イザベラの姿を確認すると満面の笑みを浮かべ、立ち上がる。


「イザベラお姉ちゃん!」


笑顔で駆け寄ってくるヨハンナの視線に合わせるため、イザベラはその場にしゃがむ。